この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

真剣なヒゲ男の言葉に、夏美はすっかりしおらしくなり赤くうつむいている。


「へへ…夏美良かったね!///アキラ先輩素敵じゃん」


そんな夏美に美代は笑いかけた。


「ま…まぁ、ちょっとはね」


「へへ、ようやく認めたのかよ」


少し素直になる夏美に、カウンター内からヒゲ男が優しい眼差しを向ける。



ヒゲ男は強引で空気の読めない奴だが


その強引さがここでは夏美の意地をうまく中和させていた。


なんだかんだ言い合いながらもこの二人はお似合いかもしれない。


俺は巨大な水槽の中を泳ぐ魚を見つめながら、そんな風に感じていた。




「それにしても、この水槽デカイな」


美代の実家にある金魚の又吉の水槽とは比べものにならんぐらいデカイ。


又吉がこれを見たら嫉妬しそうだな…


アイツは普段から金魚鉢の狭さにケチをつけていたから。