この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

そんな美代に俺の胸も痛んだ。


ごめんな、美代…


だけど今はこう言うしか――…


俺は美代に近付くと、美代の頭に手を置いた。


「そこまで美代に想われて、マサルは幸せ者だな」


美代、ありがとう。


だけど、ごめんな。


「……………」


俺の言葉に


美代は泣きそうな顔でぺたぺたと寝室に戻っていったのだった。











美代が寝室にこもり


一人になった俺はベランダに出て銀を呼んだ。


昨夜、なぜ突然うさぎになったのか知りたい。


山吹が海で言っていた聴力のことも気になるし…


とにかく、誰かに何かを教えて欲しかった。



しかし、いくらベランダのアイアンを鳴らしても銀は一向に現れなかった。


いつもこれで必ず来てくれるのに―――…


俺は不安な気持ちになった。