この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐


「ん…ぅ…むにゃ」


――その時

美代がもぞもぞと動いた。


美代はそのままごしごしと目を擦る。


そんな美代をぼんやり見つめつつ


俺は改めて自分の今の状況に気付いた。


ま…まずい…!


うさぎから人間に戻った俺は、上半身裸だったのだ。


しかもここは美代の布団の中。


慌てて、布団の中に隠れた下半身も確認するが


やはり俺は下半身も素っ裸だった。


顔が青ざめる。


美代が起きる前になんとかしないと…!



「…んぅ―…‥」


「ッ!!」


今にも起きそうな美代にびくっなる肩。


とりあえず服を着なければ…


俺は細心の注意を払いながら、そっと布団からはい出るとそのまま隣のリビングに滑り込んだ。


そしてスライディングしたままの姿勢で衣類のケースに腕を突っ込むと


がむしゃらにズボンをひとつ、引っこ抜いた。


絡まる布に強引に足を通していると



「ん…マサルしゃん…?」


背後からぺたっと美代の足音がした。