この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「え?だって大きいんだもん…」


俺の心配をよそに美代は口をとがらせた。


「…………」


そんな美代に俺はエプロンも差し出した。


「なら、このエプロンも腰に巻いとけ」


Tシャツだけじゃ、全然意味がない。


「え?いや、さすがにそれはおかしいよ」


「…………」


納得しない俺に美代は困っように鼻をかいた。


「とにかく…マサルさん私もう行くね?」


美代はそう言ってにこっと笑うとTシャツ姿のままで砂浜をかけだした。


「あ、コラ!待てよ」


「マサルさん、がんばってね~」


美代は口うるさい俺から逃げるように走り出す。


しかし美代が走ると、はためくTシャツの裾から美代のビキニの尻が見栄隠れした。


「あ、おい美代!走るな…!」


俺は慌てて声を張上げる。


しかし


小さくなった美代は一度くるりと振り返り俺に手をふると、また走って去っていってしまった。


「ッ……あの馬鹿…」


小さく呟く俺に


山吹はなぜか最後まで笑いを堪えていた。