この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「あ…ありがとう」


俺は山吹から衣類を受け取った。


山吹はそんな俺の頭にキャップ帽をポスッとかぶせる。


「ほな美代ちゃん、そういう訳やから半日マサルさん借りてええか?」


俺たちのやり取りを見ていた美代は、いきなり話をふられて少し驚くように肩をあげた。


「あ!はい、もちろん私は構わないですよ」


そして美代は頬を指でポリポリしながら俺を見た。


「えっと…じゃあ私はメイや夏美とバーベキューのところにいるね?」


「あ、あぁ」


「……………」


ぎこちなく頷く俺に、美代は励ますようににっこり笑った。


「あとでまた何か買いにくるね。マサルさんファイト☆」


そして美代は小さくガッツポーズを取ると歩きだそうとした。




「あ、おい美代」


俺はそんな美代の腕を掴む。


「え?」


不思議そうな顔をして足を止める美代に


「…………」


俺は無言のまま


いま山吹から手渡された黒いTシャツを美代の頭からかぶせた。