この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

にやりと笑う山吹のに俺はうわずった声をあげた。


まさかとは思ったが…まさか本当に山吹だとは。


なんで山吹がここに…?


「マサルさん元気に暮らしとったか?」


黒いTシャツに腰に茶色いエプロンを巻いた山吹は


長めの金髪をひとつに縛って、キャップ帽を深くかぶっていた。


「あ、マサルさんの親友さん!」


美代も山吹を思い出したらしく声を上げる。


「あ、美代ちゃんどうも~♪マサルさんがお世話なっとります」


「え、いえいえ、こちらこそどうもです」


和む山吹と美代に1人驚きを隠せないままの俺。


「な…なんで山吹がここに…」


山吹は意味深にニッと笑った。


「さぁてなんでやろな?それよかポップコーンは500円やで」


「あ、500円ですね」


山吹の言葉に美代が財布を取り出す。


しかし山吹は言った。


「あれ?マサルさんが買うんやろ?ほなマサルさんが自分で払わんとなぁ」


「え…?」


山吹の言葉に俺は戸惑った。


そんな俺を庇うように美代も言う。


「あ、えっとマサルさんはいま無一文で…」