この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「…………」


美代は美代のクセに、どうやら男に人気があるようだ。


俺はさりげなく美代を他の部員たちから遠ざけようとした。


罪悪感も多少あるが…


今はモヤモヤする気持ちの方が強かった。



「おい美代、あっちの方に行ったら豆腐が取れそうだぞ」


そんな俺になぜか部員たちはまた笑う。


ふん…


俺はそんな事は気にせずさりげなく美代の腕を引いた。


「美代ちゃんたちも肉食いに来なよ~?」


そんな声を背に、俺と美代はその場を後にした。










海の中で相変わらず探索を続ける俺に


「あ、マサルさん海鳥だ」


美代が空を見上げると、青い空に白い鳥が舞っていた。


海鳥と話したことはないが…


俺は試しに口笛を吹いてみた。


ピュ~ルル~


俺の口笛に合わせて一匹の海鳥がなめらかに下降してくる。


俺は肘を高くするように右腕を上に掲げた。


その腕に停まる海鳥。