この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐


ザザ―――ン…






波打ち際まで来ると白い泡を立てた波が素足にかかった。


「わっ…」


いきなりの冷たい温度に、俺は思わず腰がひけた。


そんな俺の隣で


「あひゃ~冷たくて気持ちいいっ」


ビビる俺とは対称的に、美代は気持ちよさそうに足を海に進めていた。


「…………」


そんな美代に倣い、俺もおそるおそる海に足を入れる。


ザプン、ザプン


時折くる大きな波に足がすくわれそうになりながら。


だけど初めて入る海は、同じ水でも風呂とは違い


美代の言う通り冷たくて気持ち良かった。


足裏にあたる岩が時折痛いが…


寄せては返す波の音や海の匂い


きらきら光る海面に、俺はどんどん魅せられていった。