な…

なに勝手に見てんだコイツ…!


俺はヒゲ男から一歩離れると、ヒゲ男を睨んだ。


美代を見るな…

見るな

見るな!


そんな俺の視線に気付いたヒゲ男は、こちらを向くと露骨に嫌な顔をした。


「んあ?なんだコラ」


「…………ッ」


ヒゲ男に負けず俺も威嚇する。


「それは俺の台詞だ。お前は見るな」


「はぁ?なんでオメーに指図されなきゃなんねんだよ?」


「…………」


俺とヒゲ男の間に静かな火花が散った。


俺は争いが好きな訳じゃない。


ただ、ヒゲ男の卑しい視線で真っ白な美代を汚したくなかった。


ヒゲ男に関わらず…


俺は出来れば誰にも美代を見せたくはないと思った。


「美代を見て良いのは俺だけだ」


そんな権利、どこにもないのは分かっている。


そんなこと分かっているのに。


それでも抑えられない


この、モヤモヤした嫌な気持ちは何なんだろう…


「はぁ?やってらんね~わ。勝手に言ってろ」


ヒゲ男は舌打ちすると、俺から離れて行った。