この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「…………」


俺は美代の気持ちを伺うように見た。


美代は全てを信じているようなまっすぐな瞳を


こんな得体の知れない男に向けている。


本当にいいのか?


どこまでお人好しなんだよ…


俺は美代が俺を信じてくれて嬉しい


そんな気持ちと同時に


どんなに頼まれても、美代には初対面の男なんて簡単に泊まらせて欲しくない


そんな矛盾した気持ちを感じていた。


昨夜も簡単に俺を信じてくれた美代。


そうさせたのは俺だけど。


美代…


だから俺は美代が心配なんだ。


「ほな、美代ちゃんマサル君をよろしく頼みますわ」


山吹が場を仕切るように言った。


「あ、はい。えっと…じゃあ、私朝ごはん何もないからちょっとコンビニまで行ってきます」


「はいよ~どうもありがとうね美代ちゃん」


山吹の笑顔に、美代もつられるようににっこり笑った。