この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

そんなことを考えていた俺に、美代はうろたえながら言った。


「マサルさん…もし私が断ったらこれからずっと野宿するつもりなの?」


心配してくれる美代は、罪悪感からかオロオロしている。


俺はうなずいた。


「でも心配はいらないから」


正直汚くなるから野宿は嫌だ。


だけど、うさぎの頃のようにカラスには襲われないだろうし。


今までうさぎだったから草の上で寝ること自体はさほど抵抗ないし。


美代を見守る間だけは、なんとしてでも生き抜くから。


だから美代は心配しなくていいよ。


しかしそんな俺に美代は言った。


「そんな…だったらやっぱり、うちにきて?」


「え?」


「短期間なんだよね?なら泊まって?」


「え…、いやでも…」


俺は驚きながら美代を見た。


美代は俺に同情しているのか、切ない顔をしていた。


「身寄りがないなら仕方ないもん。困っている時は助け合わなきゃ」


「み…美代」


「それにマサルさんは、パパの知り合いなんでしょ?」


「あ、ああ。だけど…」


「だったらなおさら困っているマサルさんの事、放っておけないよ」