「はぁ、お願い…ですか?」


突然ベランダに現れた男と何故か普通に会話をしている美代。


どうやら相当寝起きのようだ。


美代の頭はボサボサだった。


そんな美代に山吹はペラペラと口から出任せを喋り出す。


「実は僕とマサル君は2人でルームシェアしてたんやけど…」


ここで山吹は悲しむように眉間に指を当てた。


「なんと…昨日そのシェアハウスが火事で焼けてしもたんです」


「は…はぁ?!」


山吹の無茶苦茶な作り話に俺は思わず声を上げた。


美代も目を丸くしている。


そんな俺たちを遮るように山吹はまた喋りだした。


「ほんで、僕は実家があるからエエんですけどマサル君は両親がおらんくてね…」


「え?!そうなの?」


美代は更に驚いた顔で俺を見た。


「あ…あぁ…」


こうなりゃヤケくそだ、


俺は戸惑いながらも山吹に話を合わせた。


捨てウサギだった俺には確かに両親はいないし…


しかし俺がなんとか話を合わせたところへ


山吹は更にむちゃくちゃな事を言い出した。


「せやからな?しばらく美代ちゃん家にマサル君を泊めたってもらえへんやろか?」