―――しかし

いくら呼んでも美代は来てくれなかった。


「……………」


なんだ?

寝てんのか?


俺は風呂場を出ると濡れた体のまま脱衣場を出た。


そして廊下に出るともう一度、美代を呼ぶ。


「お―い美代!」


静かな部屋に俺の声だけが響く。



どれだけ待っても美代は現れなかった。


あいつ…どこ行ったんだ?


シュンとした俺は床に目をやった。


「げ!」


濡れたままの俺が辿ってきた足元はべちゃべちゃに濡れていた。


しまった


美代は俺がウサギ時代に濡れたまま風呂から脱走すると


床が濡れるから止めてとよく怒っていた。


俺は慌てて風呂場に戻った。


せっかく泊めてもらえるのに、美代を困らせてはいけない。


だけど不可抗力だったんだ。


美代がすぐ来ないのが悪いんだ