「だって…パパの名前…」


パパの名前……?







……!!


俺はそこで初めて自分の失敗に気が付いた。


変わらない美代とのやり取りにうかれた俺は


ついうっかり、伸太郎の名前を口にしたっけ…?


何も考えずに言い過ぎたようだ。


ヤバい…


俺が少し慌てていると


そんな俺を困惑の表情で美代は見つめていた。


見つめられて余計に咄嗟の良い誤魔化し方が見つからない。


どうするか迷った俺は


もうここは美代の想像に合わせることにしようと決めた。


「あ…うん、実は、親戚ではないけど…俺は伸太郎の知り合いで…君の様子を見に来たんだ」


しどろもどろ言いながら


だけどギリギリ嘘でもないと自分を正当化させる。


俺は美代を見守りに来たんだ。


そんな俺の言葉に美代は
やっぱり!と言う表情をした。


「はわわ…ごめんなさい///うちのパパったら」


頬に手を当てた美代は思い出したように上目遣いで俺を見た。


「あ、じゃあこの辺りに住んでるって言うのは嘘なの?」


「あ―…う、ん」


「え?じゃあわざわざホテルとか?」


「…………」