その目は、お姉ちゃんみたいで…。
一瞬、お姉ちゃんが帰ってきたのかと思った。
「なに?」
その人の声で我に帰った。
「えっ!あっあの…さっき屋上に居ました?」
違う人だったら失礼だし一応聞いてみた。
「……居たけど…悪かった?」
なんで悪いなんて思ってるの?
「えっいや…泣いてたの見られたかなって思って…」
別に見られたくなかった訳ではない。
「……忘れて欲しいなら、忘れるよ」
まさかの解答だった。
普通なら"なんで泣いてたの"って聞いてくるよね?普通なら。
でも…この人は…何も聞いてこない。
この時に、この人はきっといい人だと思った。
「じゃあ、見なかった事にして」
「………ん」
そう言って立ち去ろうとした彼女を引き止めた。