「…いいよ」

「え?」

「…理由話す」



話したくない訳ではなかった。


桜姫奈はたぶん、気になってたに違いない。


なのに気を使ってその話に触れないように素の状態で話してくれた。


感謝の気持ちもあるし、いつまでもこのまま話さない訳にはいけないから。



「ムリしないでよ〜」 



桜姫奈は微笑みながら言った。



「…私さ、父親に殴られててさ――…」



いつからとか、女遊びも激しいとか邪魔者扱いだった事、そして…父親が殺された事…。


話している間、桜姫奈は何も言わず頷くだけだった。