『霊魔伝』其の参 土の章

部屋に戻り、少しベッドに横になった。
朝食を食べたせいか、眠くなった。

夜考え事をしていて、眠れなかったこともあった。

ウトウトとしていると、部屋に誰か入ってくる気配がした。
が、眠気に負けて目が開けられない。

小太郎と何か話をしているようだ。そこまでは意識があったが、眠りに落ちた。

《零次朗、起きろ。時間だ》

小太郎に起こされた。

時計を見ると、三十分ほど寝たらしい。
少しの眠りなのに、すっきりと目が覚めた。

「少し眠ったおかげで、身体が軽くなったみたいだ。さ、行こうか」

《身体が軽いのは、霊服のせいだ。寝ている間に、零次朗の霊気を整えたのだ》

「霊服にはそんな効果もあるのか」

《そうだ。これを着ていれば、眠りはこれまでの半分で済む。病気もしなくなるぞ》

「そうなのか。そういえば、国安先生が言っていたな。病気の原因は字のごとく、気が病むことだって。気の循環が悪くなると、そこが弱り、具合が悪くなるらしい」

《気が充実していれば、細胞が活性化し、傷ついてもすぐ再生する。
零次朗は、修行のおかげで霊気が強まっているが、そのコントロールがまだうまくない。
無駄に気を放出している。
それが、邪悪な霊魔を呼び寄せることにも繋がっているのだ》

「そうか、もっと修行が必要だってことだろう。小太郎が言いたいのは」

《ははは、そうだ》

零次朗もつられて笑った。