「そうか、楽しみだな。でも、これからずっとこれを着ていなきゃいけないのか。学校へ行くときはどうするんだ。こんな格好じゃ、笑われる」

《はは、これは一度着ると、脱げないぞ。零次朗の霊気と霊糸が結びついたら、離れなくなるんだ》

あわてて脱ごうとするが、不思議なことに脱いだと思っても、いつのまにか着ている状態に戻ってしまう。

「あれ、どうなっているんだ。脱げないぞ。風呂とか、トイレとかはどうするんだ」

《人間は不便だな。俺は風呂もトイレも行かないぞ》

「それは、小太郎が霊魔だからだ。俺は風呂もトイレも行きたい」

行けないと思うと、急にトイレに行きたくなった。

「小太郎助けてくれ、どうすれば良いんだ」

《そのまま行けばいい。もう身体の一部になっているから、行けばできる。
風呂も着たまま入って平気だ。そのまま洗えばいい。
その時は霊糸は零次朗の身体の中に入ってしまうから》

零次朗は部屋を飛び出し、トイレに駆け込んだ。

小太郎は部屋で大笑いしている。

しばらくすると、零次朗が戻ってきた。

《どうだ。大丈夫だったろう》

「ああ、不思議だな。でも、慣れるまでは結構大変だ」

《慣れれば、その上からでも服を着られるぞ。皆そうしてる。着こなせば霊糸を自由に操れる》