「手ぇめっちゃ悴んでるんだけどー」

そう言いながら、右手を動かす。長い指。

ああ、そういえばさっきからずっと、手が冷たいって言っていたっけ。『暖めてあげようか?』なんて恥ずかしくて言えないけど、ちょっと間を置いて、

「えい、」

と彼の手に触れた。

思っていた以上に冷たい手にびっくりしたけど、離す事はしない。

「うわ、ホントに冷たいや」

「でしょー?」

「末端冷え症?」

「そうかも」

「女子じゃん」

なんて笑う。


話しながら、
ぎゅ、と手に力を込めてみる。

するとすぐに、彼も手を握り返してくれた。

どきどき、する。

自分の力じゃない、他人の、男の子の、好きな人の、力。

彼の手の冷たさは、だいぶ緩んでいた。


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