きみが見た光

教室に入り、室内にいるクラスメイトの面々を改めて見回してみると、あまり変わり映えしていないことに気づく。

俺は適当に空いている窓際の席に座ると、その後ろに圭がかばんを置いて陣取っていた。

「今日、お前ん家行ってもいい?」

後ろから圭が俺に話し掛けてくる。俺は振り向き、顔をしかめた。

「なんで」

「ゲームやりたいんだけど」

「なんで」

「なんでって、弟がハード壊しやがってよー。ジュースかけやがった」

その時の様子を思い出したのか、圭は憤慨しながら訴えてきたのだ。

俺は呆れた目を向け、「好きにすれば」と冷たく言う。しかしそんなことすらも目に入っていない圭は、また満面の笑みを浮かべて喜んでいた。

「どんだけゲームしたいんだよ、お前。今日、部活は?」

「部活? 今日は休みに決まってるだろー。始業式よ? こんな日に遊ばなくてどーすんの」

変に威張りながら圭は胸を張って主張する。俺の顔はますますしかめっつらに拍車がかかる。やはり、ヤツは気にする様子もなく背伸びをして、「よっしゃー」と張り切っていた。