ちっとも勉強する気が起きず、俺はベッドの上で大の字になって寝そべっていた。

やがて太陽が一日の仕事を終えて、静かに月と交代する。

電気すらも付いていない部屋の中は、柔らかく輝く月の光に照らされて、すべての影が長く伸びていた。

その静かな部屋の中で、ブーブーと携帯のバイブが唸っている。

しかし、起き上がるのが面倒臭かった俺は、呼んでいる携帯をそのままにして寝返りを打つ。

気付かないフリをして、鳴り止むのをじっと待っていた。

それでも諦めない携帯は、自分の体をこれでもかってくらいしつこく揺らしている。

(…しつこいな。誰だよ)

俺はやっと重い腰をあげて、かばんのポケットに入れっぱなしの携帯に手を伸ばした。

(あ……)

誰からの着信かを確認すると、その電話に出ることをためらってしまう。

(待ってるって約束、忘れてた…)

俺は通話ボタンを押し、電話に出た。