黒ユリのタンゴ

ミユキは才能があるのよ。

光永先輩は、私に浜田先輩をこう紹介してくれた。

二人は仲がいいのだろう。
ちょっぴり誇らしげだ。


「そういえば、文芸コンクールに入選って以前話してましたよね」

「うん、それがミユキなんだ」


浜田先輩はそれを聞いて、とっても恥ずかしそうに「やめてよ」と言っている。



・・・ずいぶん奥ゆかしい人のようだ。

今だにこんな人がいるなんて。
つい絶滅種を見るかのような目で見てしまう。

札を読む姿はあまり想像つかない。
ましてや筧先輩とのやり取りなんて・・・。



と思っていると、当の筧先輩も生徒会室に来ていた。

携帯を片手に、どうやらここまで走ってきたようだ。


「メール見ましたよ! 『ミス文芸部』って・・・」


まだ息も切れ切れの筧先輩を、ボスはうれしそうに紹介した。

「こちらが司会進行の筧君。
同学年だし、知ってるかな?
お互い宜しくね」