黒ユリのタンゴ

委員会(いや、おしゃべり会?)が終わって、駐輪場までの道。

今日は神田君とプリンス先輩と一緒だった。


思い切って、さっきの疑問をぶつけてみる。

「ねえ、先輩。

さっき『ミス文芸部』の質問したとき、ちょっと意外そうな顔されてましたよね。
なんか他に心当たりがあったんですか?」



プリンス先輩はちょっと驚いたように目を丸くした。

「すごいね黒ユリちゃん。勘がいいというか。」

「いや、てっきり僕らの知ってる3年の子かと思ったんだよ。」



プリンス先輩やボスが2年のとき、同じクラスにいた人だという。

文芸部に所属していることもあり、「来年は私が読みたいわ」といろんなところで公言していたらしい。

3年になりクラスは離れてしまったが、プリンス先輩やボスなど当時を知る人は、てっきりその人が立候補しているものだと思っていたようだ。


「だからさ、2年の子、って聞いたときに驚いたんだよ。ってことは、文芸部も辞めちゃったのかなあ」


なるほど、そういうことだったのか。
これまでのボスの態度も納得できた。