「白ユリ」と呼ばれたあちらの机の少女。


私と同じ制服を着ているはずなのにどこか可憐に見える、女から見てなんともニクイやつ。


これがクラスメイトの白川百合子(しらかわゆりこ)、通称「白ユリ」なのだった。


生徒会の新入生が一堂に会したその日。
プリンス先輩がみんなの自己紹介を聞いて、思わず私たちに言ったのが次の言葉。


「じゃあ、白川さんは『白ユリちゃん』、黒井さんは『黒ユリちゃん』だね」


その日以来、私たちの校内でのあだ名は決まってしまった。

大好きな人にニックネームをつけてもらい、おまけにしっかりと呼んでもらえるなんてすごく嬉しいはずなのに、

なんか切ない。

それはきっと「白ユリ」という名を持つコヤツのせいなんだろう。


白ユリもプリンス先輩のことを気に入ってるようで、すっかり私達はライバル関係なのだ。


思わず白ユリをにらんでしまう。