黒ユリのタンゴ

家に帰って、忘れないうちにスケジュール帳に「今後やること」を書き写す。

そして1月22日にグリグリ、と「百人一首大会!」と書き込む。


「神田君と備品借りに行くのは木曜日。あと急ぎなのはポスター作りかあ。」



ふー、と両手を挙げて椅子に寄りかかる。

ポスターねえ・・・。

はっきり言って、美術はサイテー。
字もあんまりうまくない。

ボスから説明を受けたときは「ふーん、何とかなるんじゃない」と思ってみたが、改めて作ることを考えると、意外と難関だ。

しかも2枚。

「参ったなあ・・・センスが問われるって、これ」


うーん・・・

困っていると、携帯メールが届いた。智香からだ。
さては帰りに送ったメールに驚いたな?


『ちょっとぉ!どういうこと?山崎先輩ファンがまた増えたって!!』

案の定、反響があった。思わずニヤリとする。
・・・そうだ。智香がいるじゃないか。これはもしかしたら使えるかもしれないぞ?


急いでメールの返信を打つ。

『百人一首大会の説明がこれまた見事でさ。その場のみんなが惚れ直したってことよ。ひとつ困ってるのが、その先輩からの頼まれごとなんだけど・・・

ま、詳しくはまた来週ね』