黒ユリのタンゴ

駐輪場に向かう途中、神田君が「ちょっと待って」と購買のほうへ向かう。
何かと思うと、紅茶のペットを2本手に持ってきた。


「おやおや、さてはボスの影響だな?」
私が茶化すと、神田君はメガネを触って照れくさそうにしている。

「いやさ、僕らも当日までがんばろう、って思ってさ」

・・・なんだか青春じゃないの!
これよ、こういう「青春の一ページ」、これにあこがれてたのよ!
夕日がバックなら、なおさらよかったんだけどね!

体育系の部活ほど汗臭くもなく、かつほんのりと知性の香り。
これこれこれ!!


受け取った暖かいペットを握り締め、もちろん私もこう応えた。
「あたりまえよ、成功こそが目標!」
「あ、だけど、私『生徒会チーム』として参加しちゃうけどね」

二人で小さく乾杯。
神田君、意外にいいやつじゃないの。ちょっとおとなしいけど。
ちらりと横を見ると、神田君、眼鏡を曇らせて紅茶を飲んでいる。

ぶっちゃけ第一印象は「地味眼鏡」だったけど、意外に熱いところもあるし、うまいことやっていけそうな気がする。


大丈夫、しっかりとボスを支えて成功に導き
プリンス先輩に「すごいね黒ユリちゃん!」と言わせてみせます!!