黒ユリのタンゴ

一通りの打ち合わせが終わると、すっかり外は真っ暗になっていた。

どうやら神田君もチャリ通のようで、一緒に駐輪場まで向かう。


「打ち合わせなのに、すごく楽しかったよね」

普段接点はないけれど、今日の打ち合わせのおかげだろうか、ちょっとした仲間感覚になった私たちはいろいろとしゃべっていた。


「うん。正直、山崎先輩ってもっとミーハーな人かと思ってた。文芸部ってのも今日聞いてビックリしたし」

「今日の説明もすごくわかりやすかったからさ、なんか僕感動したよ。あはは、変だよね」


神田君はなんだか照れくさいのか、セルフレームのメガネを触りながらボスを絶賛していた。

「いや、私もビックリしたもん。あんなパリッとしたボス、初めて見た」

ほんと、私も。

今日のボスの姿を智香に見せてあげたかった。

いや、まてよ。智香に見せたら大変なことにならないか?

それぐらい今日のボスはかっこよかった。

男の神田君が褒めちぎるくらいだから、よほどのものだ。


「最後にお茶までくれたり。みんなの士気を高めようと、ああいった気遣いが出来る人って、ほんといいよなあ」
うっとりと語る神田君・・・

どうやらボスに心酔しちゃった!?
またファンを増やして・・・罪なボスだよ。