黒ユリのタンゴ

教室に戻ると、まだある程度の生徒が残っていた。

智香が「おつかれ~!」と笑顔で迎えてくれる。


「ほんと、つかれたよぉ」

「でもさ、山崎先輩が詠むって何で教えてくれなかったのよ」


さすがに事情は言えないので、急遽代理だったとだけ伝える。


智香はそれ以上追及せず、私もおかげで張り切れたワとうっとりしていた。

・・・ファンとはいえ、気持ち悪いぞ・・・。



「それはそうと」

智香が私を見つめる。

「プリンス先輩に・・・って、どうすんの?」


そう。

ドタバタで忘れていたわけではない。


「今から探してみようと思う。

ちゃんと自分の言葉で伝えたいし。」