黒ユリのタンゴ

「さて、帰ろっかねえ」

筧先輩はそういうと、部屋を出て行く。


私と神田君も人気のない体育館を後にした。


「しかし、あんなことだったとはね・・・」

教室に向かいながら、思わず二人でつぶやく。

ほんとうだ。


「でも楽しかったよ。不謹慎かもしれないけどね」

神田君はこう笑っている。


「うん。私も。実行委員になってよかった」


「来年も何かやりたいよね」

「そうだね」


教室の前で、神田君はこういってくれた。


「黒井さんと一緒で楽しかったよ」

うん、私も。