黒ユリのタンゴ

浜田先輩は顔をあげ、ゆっくりと、しかしハッキリした声で話し始めた。




もともと小さいころから引っ込み思案で緊張するほうだったの。

人前が苦手な人、っているでしょ?


そして中学のころだったかな、

人前で発表するときにあがってしまって声が震えちゃって。

教卓の前で泣き出してしまったことがあるの。

そのときに先生から病気のような説明をされちゃって、とても傷ついて。



それ以来、多くの人の前というものが精神的に耐えられなくなった。

吐き気がしたり・・・。


だから、今回ももちろん自分で希望したわけではないの。

面倒くさがった文芸部のみんなが「コンクール入選」を理由に、

強引に私に押し付けてきただけ。



ね、そうでしょ?みっちゃん?