黒ユリのタンゴ

「ふーん、結局ユーリには何の連絡もなし?白ユリも冷たいヤツだねえ」

「うん。どっちにとっても『郵便屋さん』扱いなんじゃないの?」


悪い子じゃないんだけど、白ユリとはこんな調子でなんか仲良くできてないのだ。


「それはそうと、なんか最初の話だと、生徒会長が白ユリのこと気に入ってるみたいに聞こえるんだけど?」

「だって、なんか最近そんな雰囲気多くてさ」


「アンタらしくないなあ。ポジティブなのが、ユーリのいいところでしょ。
シッカリ頑張らないと」


茶化して言っているが、智香なりにしっかりと励ましてくれているはず。

それこそ、入学したての仲良くなったころには「なによ、その子供の恋愛」と私の先輩への気持ちをよくバカにされたもんだ。

そして私もムキになって・・・。

それを思うと、言葉はどうであれ後押しをしてくれる智香には感謝なんだけどなぁ。


「おっ、急げ急げ!次は移動教室だよ〜。」
智香の掛け声に慌てて箸を動かす。が、焦ってるからか、里芋がうまくつかめない。


イライラの原因は智香でもなければ先輩でもない、はず。それなのに・・・。