黒ユリのタンゴ

何も持ってこなかったので、ヒマだ。


とりあえず、神田君の私物を見ておくことにしよう。


机の上には黒いペンケースと教科書。

どうやら最後の授業は英語だったらしい。


ペラペラと教科書をめくる。



「ちょっと!」

声がして、顔をあげると神田君が戻ってきていた。


「アハハ・・・」


まったく、とつぶやく神田君。


「さ、早く教えてちょうだい」