黒ユリのタンゴ

「そういえば一点、気になったんだけど」


駐輪場での別れ際に、神田君がつぶやく。


「山崎先輩、どうして『ちょっと待って』って言ったんだろう。

僕さ、なんか心当りがあるからじゃないか、って思ったんだよね」


・・・そういえば、そうだ。

内容が内容なだけに、筧先輩のように「すぐ先生に」となるはずなのに。



ふと、いつだったかプリンス先輩が話していた3年生のことを思い出した。


神田君もどうやら同じらしい。


「ちょっとその人、調べてみようか」