黒ユリのタンゴ

「でもさ。あんたって、何かと『白ユリ』絡みで苦労してるわよねぇ」


早速おふくろ定食の定番の一品、里芋の煮っ転がしを器用にぱくつきながら、智香はふと口にする。


「『白ユリ』、『白ユリ』。なんかとり憑かれてるんじゃないの?」

「おまけにあんた、好きな先輩はかっさらわれようとしちゃってるし」

うう、まさにその通りだったりする。


「智香、やめてよぉ~(涙)」


智香の言うとおり、私にとって白ユリはトラブルメーカーだった。

下手に生徒会長にセットで名づけられたものだから、セットで覚えられる。


それはちょっとした不幸の始まりだった。