黒ユリのタンゴ

「ふうん、それで?アンタまたうまく話しかけられなかったワケ?」

腹ペコの学生達でごった返す、翌日のお昼の食堂。

入学以来、すっかり定番となった「おふくろ定食」の券を片手に、私は親友の智香(ともか)と列に並んでいた。


「そのとおりぃ~」


「・・・ユーリ、いつものことじゃん」


二人でお盆を持って、いつもの定位置に座る。


智香はクラスで一番の親友。

彼女は私を『黒ユリ』と呼ばない今や貴重な人種だ。


彼女曰く「そんな流行にはのりたくない」らしい。


そんな智香の中では、私のプリンス先輩に対する悩みは「いつものこと」らしい。

それはそれで憤慨モノなのだが・・・。