夏の事。

(あかり視点)


モォォォ〜…。

午前10時過ぎ。

あかりはタケルの家の牛舎で、放牧した牛の糞尿の処理や、水が無くなれば、水飲み場の深いシンクに水を溜めたりして、日中の作業に追われていた。

この村に来て1ヶ月。
あかりはその間にメキメキと仕事を覚え、

「初めはどうなるかと思ったけど、馴染んでくれて嬉しいわ。」

と、祖母に昨日言われたばかりだ。


1週間前にかかってきたアヤトからの連絡。


それはズシンと気持ちを支配してるけど。


(なんも考えない。あんな電話に…)と、強い自己暗示をかけ、黙々と今日与えられた仕事をこの木々に囲まれた「ココ」で作業を行う。


それはあかりにとって、ここに来た存在意義を見出だせるものであった。


「お疲れさん」


餌やり場に牧草を運んでいたあかりに、タケルの父はそう声をかける。


「疲れたべ?休憩だ。事務室に行こう」


その言葉に、あかりはタケルの父と一緒に事務室に向かう。


(わ〜い)


休憩中は缶コーヒーやお菓子が差し入れとして出て来る。

あかりにはそれも楽しみの一つ。しかし気掛かりな事があった。


しかし気掛かりな事もあった。