夏の事。

(あ…ホントにいた…)

自転車でジャガイモ畑に行くと

ガーッ


畑の中を走っているトラクタを見かけた。


キッ。


タケルは自転車を止め


「おーいっ!!」

と畑の畝を通らない様、遠回りをして、遠くに走ってたトラクタに走り寄って行った。


6月のジャガイモ畑はちょうど小さな白い花を咲かせ、風を揺れている。


走り寄って来たタケルに気付いたのか、トラクタはブレーキをかけ、扉が開く。


そこにいたのはあかりの叔父である田中ヒサシだった。


「お、ご苦労さんだなー。タケル。」

「あれ?じいちゃんとばあちゃんは?」


「ああ、じいちゃんは農協で、ばあちゃんはハウスに行ってんだ。」

「あ、そうだったのか。
あかりが「ここだ」って言うから来たんだけど…代わるか?」


「ああ、したっけ、俺はビートの所に行ってくる。

…てか、お前あかりに会ったの?」

「おう、会ってきた。」

「で?その頬のアザは何?
お前、はやばやあかりに手ぇ出したんか?」

ヒサシは先ほどタケルの頬にあかりが散らせたもみじに指を指す。