夏の事。

(……いてぇ……。)

先ほどあかりに散らされた大きなもみじが、じんじんとする。

さっきは

叩かれた事に

「何する……!!」

と言いかけたが、相手は女の子。

あかりに

「俺だって!俺!!」

と何回も自分が「大沢タケルである」と伝えた筈だったのだが…。

あかりは、

「大沢タケルぅ?知らないわよっ!

俺だよ、俺って、オレオレ詐欺じゃあるまいし!!」

と、突然現れた見知らぬ図体だけがでかい男に抱き着かれ、よっぽどビックリしたのか

「早く出てって!!」

とまくし立て、茶の間の向こうに消えて行った。

よくよくタケルがあかりに取った行動を考えてみると


(ま、まぁあいつにとっては変質者だよな…)

と、途端に恥ずかしくなる。


タケルはそんな百面相を知らずにし、作業服に着替え、田中農場の来た道を自転車で戻る。


きっと誰かがいたら


「何、この変な人」


なんて思われていただろう。