夏の事。

あかりは祖母のその姿をぼんやりと見る。

「でも…だって…生きていたって、誰も私の事分かってくれないじゃない。

…それに私…人を一人殺したんだよっ!?

その子の元に行ったって…!!」


祖母は力を振り絞り、フェンスによじ昇っていたあかりの寝間着を渾身の力を込め、引っ張った。


バサン…。


「ツ…ッ」


膝に痛みが生じる。


そして祖母はあかりにこう問い掛けた。


「誰も分かってくれない?

じいちゃんもばあちゃんも、あかりの事分かってるさ。

お前を心配してくれてる人が何人もお前にはいるんだ。

…それに、お腹にいた子どもは、あかりがこんな事をして喜ぶと思う?」


(ずっと…見守ってるから…)


あかりはふと、あの夢を思い出した。


ポロポロと涙が出る。