夏の事。

あかりは叫び声をする方に顔を向けた。


そこに立っていたのは


「…ばぁちゃん……」


祖母だった。


「病院に泊まっていたんだけど、なんか胸騒ぎがしてね…。」


慌てて病室に行くとあかりがいなかったらしい。


慌てた祖母はナースコールを鳴らし、看護師とあかりを探しに出た。


祖母はあかりが屋上から飛び降りた…そんな前科があることを思い出し、慌てて屋上に来たらしい。


案の定、あかりは屋上でフェンスを乗り越えようとしていた。


ハァハァ…。

階段を登り、来たらしい祖母は息を荒らし、こう叫んだ。


「あかり、辞めなさいっ!!

辞めて、こっちへ来るんだ!!」


そう手招きをする。


「…ばあちゃん…でも私……」


「若い時はねぇ、何度道を踏み外したって、またいつか同じ道に戻って来るの!!

でもねっ!!死んでしまったら意味がないでしょう!?」