夏の事。


ウォォォン…。

どこからともなく聞こえて来る車の音。


あかりは病院の屋上にやって来ていた。


そして、寝る前に起きた事を思い出す。


(…もう、嫌だ……)


母との言い争い。

突然やって来たアヤトの台詞に、その胸倉を掴んだ母の姿。


(誰も私の事なんかわかってくれない…)


そう思い、あかりは編み戸のフェンスを

ズキズキする頭を堪え、昇っていこうとする。


そんなあかりに


「あかりっっ!!」


と叫び声が聞こえる。