夏の事。

あかりは、親から貰った小遣いで、会計の料金を払った。

高校生のあかりには、その額はとても高かった。

また、月に何度か登録制のバイトをしていたけれど
親に渡された保険証を使い、親から貰った小遣いで、
こんな事に料金を払うこと…。

あかりはなぜだかそんな自分に違和感を感じた。


スニーカーで病院を後にする。


俯いたまま、先程見た映像の白い影が映った写真を見る。


…1週間で親に言わなくてはならない。

でも言えるのだろうか。


(どうしよう…どうしよう…)


ねぇ…教えてよ………。


思わず、下腹部に手を当てていた。

あかりは自分のその行動に驚いた。

なぜだかその時。

(ああ……いるんだ………)

「何かがお腹にいる」

その事を自分は認めたのだ。

いて欲しくなかったのに。
いたら大変な事になるからって。
「いる」って言う事がまだまだ遠い未来の話だと

そう思ってたのに。


「新しい生命がここにいる」

16歳のあかりには、それがどういう事か、まだ理解しがたかったけれど。



(本当に取り返しの付かないことをしてしまった…)

あかりはそう思い、
下腹部に当てた手を
ギュ……ッと握った。


そして、その日は学校を無断欠席した…。