夏の事。

ベッドに身を預けたあかりに医師は

下腹部にゼリー状の透明な液体を塗り、塗った部分にスコープの様なものを当てた。

「見て。」

医師はモニターに指を指す。

モニターには、真っ黒の胎内の真ん中に空洞の様なものがあり、
そこに小さな小さな人差し指より少し大きい、人の形をした影が白く映し出されていた。

この影が…
私の中にいるの…?
あかりには実感が沸かない。


「ん…やっぱり3ヶ月ぐらいの大きさだな…。
最近、気持ち悪くて吐いたとか無かった?」


「は、はい…ありました。」


あかりは昨日、公園のトイレで吐瀉物を吐いた事を思い出していた。