トン…ットン…ットン…ットン……。

あかりは音を立てないよう階段降りた。
今はまだ朝の6時。


母はまだ起きていない。
早く起きた自分に偉いと思った。


顔を見られたくなかった。
見たくなかった。

でもそれは、
昨日まで感じてた「ウザい」「どうせ分かってくれないから良い」

そんな気持ちではなく

「後悔」の気持ち。


あかりは両親に対してその感情を感じざるえなかった。

どんなに母を欲しても。

どんなに縋り付きたくなっても。

何故だか今、母を欲すると、自分がどうなるかが分からなかった。

怖かったのだ。

どんな表情をするのか。
どんな感情を見せるのか。

今まで拒否反応を起こしていたのに、こんな状況になって改めて

あかりは「母」を求めているのに気付いた。


………考えたくなかった。

ホントはきっと、相談しなきゃいけない筈なのに……。



そのままシャワーを浴びる。


学校……

(今のままじゃ行きたいと思えない……)


どうしよう…どうしよう…。


あかりはソ…ッと棚にある、ある物を持ち出し

家を出た。