アヤトの住んでいるマンションは、2階。


あかりは、カツカツカツカツ…ヒールの音を立てながら歩いた。


薄暗い蛍光灯の一カ所が今にも切れそうなくらい、点滅をしていた。


アヤトの部屋の前に来た。


…どうしよう。
まだ起きてるかな…。


いつもチャイムを鳴らすのに、あかりはその時だけ、チャイムを鳴らさず、アヤトの部屋のドアを開けた。


アヤトの部屋のドアを開けると


「ハァ…アン…」
女の喘ぎ声と

ギシッギシッとベッドが軋む音。


それとともに


ハァハァハァハア……。

どちらかの息遣い。


なんとも妖艶な情事をしている男女の「音」が聞こえた。