夏の事。

(ヤバイ…)

唇の柔らかさから、今の状況にハッと気付いたタケル。


しかしどうしても止まらない。


「………んっ!!」


ドンドンと胸を叩くあかりに微塵とも動かない。

それどころか、更に向きを変え、奥深く口づける。



「ん〜ッ!!」


ぎこちない、タケルにとって、初めてのキス。


なのにも関わらずとても悲しい気持ちになった。


自分はあかりに好きだと伝えたかった、それだけの筈なのに。


あかりに申し訳なく思う。


大切にしたかった。
ただそれだけなのに。


その思いにかられたタケルの力が緩まったのか、


ドンッ!!


あかりはタケルを突き飛ばした。


(……!!)

ちょうど強い力が胸に当たり


「コホッ」


と咳をした。


あかりはそのタケルを見遣りながら


「…最低…。」


とポロポロ涙を流しながら言う。


「ごめん…」


申し訳なさから、そう答えるタケルに


「あんたの事、信じてたのにっ!!
こう言う風な事しないって!!
ずっと一緒にいたかったのに…な…なんで…?」


その言葉にイラッとしたタケルは言う。


「俺だって男だっ!!
なんなんだよ…。
夜の男の部屋に上がり込んで。
俺の事、男として見てないのか…?」

大切にしたい気持ちも悲しい気持ちも、すべてが吹き飛び、あかりにそう問う。


「そ、そんな事言ってないじゃない!!
ただ私は…」


「ただ私はってなんだよっ!!
俺はお前にとって何?!
ただの幼なじみっ!?
それとも一人の男だと見てくれてんのかよっ!!」


「わ…私は……」