シンは作業を止め、腕の下にタケルを抱き、

グリグリーッとしながら

「オメーラ二人揃って、なんでそんな可愛いんだよッ!!」

と言う。

シンにグリグリされ、いて、いててっ!!と言っていたタケルが


「…か、かわいい……?」


と、涙目になりながら言う。


「そーじゃねーかよ!!
なんだ?その、恋愛初期に見られる甘い雰囲気はっ!!」


と、再度グリグリやる。


「い、いてててっ!!恋愛初期ぃぃ〜!?」


「おうよ、恋愛初期だ。

お前、女にガンガン行ってそうで意外と恋愛初心者なのなー!!」


とシンは嬉しそうに言う。


「……だ、だって、るりちゃんもさつきちゃんも、くみちゃんもやよいちゃんも、そうやって俺の事避けはじめるんだもん……!!」


「なにぃぃぃ〜?!!!お前ばっか、ホント馬鹿!!」

更にグリグリとやる。


「いてててて…!!」


タケルはそのグリグリに先ほどとは違う悪質さを感じ、


「いてぇってば!!」


と、シンを押しやる。


押し合われたシンは


「お前優し過ぎ」

と、人差し指をタケルにビシッと向けた。


「優……っ!?」


シンは人差し指を突き付けながら


「てめぇの彼女いない歴18年はそれが原因だ!!!」


「え…っ!?どういう…?」


シンの言葉にたじたじになったタケルはそう問う。


シンはタケルの顔を覗きながら


「鈍、感。」

とニヤリと笑う。


「え、鈍感ってぇぇ〜?」

「そうだ、おめぇ鈍すぎ。
んでもって、天性の思わせぶりっこだ!!」

シンの言葉に小さくなっていくタケルは


「だ、だって、嫌がれたんじゃないかってそう思……」

と言う。


「良いか?お前今回それで引き下がったら後悔すっぞ?」


「そ…そうか?」


「今までもてめぇは、押して引いてを繰り返して来たんだ!!

今回は押して押して押しまくれ!!!!」


異様な雰囲気のシンに

タケルは

(だ、大丈夫なのか…?)

と思いつつ、


「わ、わかった…」


と言った。