「ホント可哀相な事しちゃったよね…。
ダメなお母さんの元に来ちゃったよね…。
あいつにもっとゴムを付けてって言ってれば…って。
5ヶ月になるまでずーっと誰も言えないでいて、挙げ句の果てに亡くしちゃって…。」

「ん…」

「けど、そんな風に言ってくれたの初めてで。

そうやって言ってくれたの、タケルが初めてで…。

私、すごい嬉しかった…。」


タケルはギュッと抱きしめる。


「大丈夫だって。

お前も俺も道を外したって同じ道にいつしか戻んだ。

もうお前が自分を責めないように、俺、ちゃんと、お前の事見てるから…」

「タケル…。」


あかりはタケルの言葉に

グスッグスッ

と嗚咽を漏らした。

そして、祖母にも同じ言葉を言われた事を思い出す。

こんな自分が幸せになっても良いんだ。

そんな思いで

「…ありがと……」

と、タケルに伝えた。

そして、あかりとタケルは牛舎の中でいつまでも抱き合っていた。


その後
「こるぁ、なんで作業終わっとらん!!」


二人してタケルの父にお灸を据えられる恐怖を知らずに…。