タケルはあかりを抱きしめ、俯きながら涙を流してた。

「なぁに泣いてるの〜?!」

あかりは突然のタケルの涙に驚く。


「あのな?
俺の気持ちは花火の時に伝えたとおりだ。」


あかりは
『過去の事よりこれから先の事を考えた方がずっと、楽しい』

そうタケルが言った事を思い出した。

「けどな、あかりがそんな風に思ってるなんて知らなくて。
もしかしたら軽はずみな事言っちゃったんじゃないかって。

ごめんな……」


タケルの言葉にあかりは驚き


「そ…そんな事ないよっ!!」

と、タケルに伝える。

バッと振り向き

「私、タケルに言われて、なんかスッと気持ちが軽くなったの。

こんな私でも幸せになっても良いかもしれないってそんな事思って…。

けど、なんかホント子どもに対する気持ちを打ち消そうとしても消さなくて…

ホントに自分が許せなくて…」

そのあかりの言葉に、タケルはあかりの前で手を合わせた。

あかりは突然のタケルの行動に

「ど、どうしたの?」

と聞く。


「この仕草ってさ。
二通りの意味があるだろ?

「……」

あかりはふと、どういう意味で言ってるのか考える。

タケルは
「ご飯食べる時、手を合わせねぇか?」

「あ…そうだ…」

「いただきますって言うのは、「貴方の命を頂きます」って言う意味。

で、もう一個は人が亡くなった時。」


あかりはハッとした


「命に関わる時に、人って手を合わせるんだね。」


「…そう。
消えた命はもう元には戻らない。
けどさ。
あかりがずっとずっと生きて、その子の事を覚えていて、ふと思い出したときに手を合わせて、その子の事を思う…それだけで、もしかしたら、その子は幸せなんじゃないかな?」


あかりは手を合わせて

「そうだね…」

と言う。

そして

『ずっと見守っているから…』

入院してた時に夢に出て来た声を思い出していた。

「もし良かったらその時は俺も付き合うぞ?
「あかりが幸せになる事を祈ってて下さい」って。
言ってくれたらいつでも」

あかりは
ポロポロ泣きながら
「…ありがと」

と言う。