夏の事。

牛の腹や、尾の下にある膜を見ていた獣医は

「…もしかすると、今回逆子かもしれないですね…」

と言う。


(あ〜…やっぱりぃぃ〜……)

とタケルは思った。


デラは初産牛。
何かあるかもしれない…と思っていたが、自分の予測が当たるとは思わなかった。

その時、パタパタ…と走り、あかりが入って来た。


「したらチェーン持って来るから、あかりちゃんにシン!!手伝ってくれな!!」


「「ハイ!!」」

タケルの父の言葉にハァハァ息を切らしたあかりと、シンが返事した。


「ちょ…俺は?」


「あーヒサシは見学。」

「え、タモツさん!!タケルと獣医呼んで来たの俺っすよ?!」


「いや、若い力の方が早く終わりそうだからさぁ〜」

「若いってぇ〜!!

俺はまださんじゅーよんだぁぁぁ〜!!!」


と、ヒサシがおたけびをあげた所


「うっさい!!」

とヒサシの後頭部を叩いたひとみが立っていた。


「ひ…ひとみ?!」


「さぁ、腕が鳴るわねぇ〜!!
お父さん早くチェーン持って来ちゃってぇぇ〜!!」


と、完全作業服なひとみも参戦することに。


そんな時


プシャ〜ッと、尾の下から水が吹き出してきた。


第2破水だ。


それからのデラの様子を見ていた獣医が

「やっぱちょっとおかしいです。
早くチェーン持ってきて下さい」


と、獣医はタケルの父に向かい、そう言った。